なぜ経営コンサルタントに依頼するのか

クライアントが経営コンサルタントに依頼する理由

クライアントはその業界ではベテランである人が多く、経営コンサルタントよりその業界については詳しいのが通常です。それではなぜ企業の経営者は経営コンサルタントに仕事を依頼しようとするのでしょうか。いろいろ理由はあると思いますが、つぎの4つがポイントになると考えています。

(1)自社の状況を客観的に見る
自社の状況は、自分が一番よくわかっているつもりでも、あまりにも身近で見えなくなっていることが多いのです。客観的な目で見るとなんでもないようなことを見落としていたり、あまりにも当たり前になってしまっていて、自分たちがやっていることが第三者から見るとおかしなことをしているということが多々あるのです。その渦中にいると、自分が高速で移動していることを忘れてしまうのです。すなわち、経営者は経営コンサルタントに冷徹な第三者からの目で見てほしいと望んでいるのです。また、経営者の中には、社員の言うことには耳を貸さないという人もいます。そのような時には、社員の代弁をし、経営者をいさめることも必要です。しばしば、その企業の問題点の元凶が経営者にあるので、経営者を変革させることが最も重要なテーマであることもあります。
(2)自経営の早さのため
自社で出来るにもかかわらず、あえてコンサルティングを依頼するというケースがります。これは意外に思われるかもしれません。これは、「経営のスピード」と密接な関係があります。 経営の課題や問題点を十分理解しており、その解決策の方向性も見えいて、自社でやってもできないことはないのに経営コンサルタントを依頼することがあるのです。これはどうしてなのでしょうか?近年では、1分1秒でも早く経営施策を実行することが、競合に勝つ重要な要素になってきています。社内で何年もかけてやって、時間がかかって出来たとしても、それが外のスピードからみて遅くては仕方がありません。自社で出来ることも、専門の経営コンサルタントに依頼して、より早く、より確実に実行することで、競合よりも、いち早く改革を成し遂げて、優位性を得ようという考えです。また、内部だけで行うと、改革に反対する勢力がでてきた場合、これを説得するのに時間がかかるということもあります。経営コンサルタントという外部の客観的な意見を間にいれることで、社内がスムーズにまとまるという効果も期待できます。
(3)自社にないノウハウを手に入れる
自分たちで考えていても解決ができない課題を、経営コンサルタントに依頼するということです。とくに、IT領域では、事業戦略しかり、業務システムしかり、めまぐるしく状況がかわっており、社内の人材では知識やノウハウが追いつかないという場合が多いです。そのような場合、社外の知見をもとめて経営コンサルタントに依頼をすることになります。「自社にないノウハウを求めて」が成り立つのは、依頼する側に知識・ノウハウが少なくて、経営コンサルタント側にそれが豊富にあるという、つまり「知識の差」があるという前提があります。しかし、「知識の差」がとくにないにも関わらず、経営コンサルタントを依頼するケースが増えています。
(4)自自社の強みに経営資源を集中させる
「コアコンピタンス経営」という言葉があります。コアコンピタンスというのは、自社の持つ経営上の強みのことをいいます。たとえば、製薬会社の場合、薬の開発能力が「コアコンピタンス」にあたります。その強みに経営資源を集中して投資し、徹底的に他社との差別化を図るというのがコアコンピタンス経営の考え方です。経営者は大まかな方向性だけを示し、細部のリサーチや計画の作成は、コンサルティングファームを使った方が効率的、ということです。リサーチや数字の操作になれているコンサルティングファームの方が、より早く、より確実に計画を作ってくれるという考えからです。とりわけ米国においては、このような割り切ったコンサルティングの使い方をする場合があります。

経営コンサルタントの強み

いろいろな企業でいろいろなケースを見てきているというその積み上げがまた、経営コンサルタントの強みでもあるのです。経営コンサルタントはいろいろな企業を見てきているので、類似の問題が過去にもあり、それが新しい顧問先でも応用できるのです。すなわち、一つの問題でも、いろいろな企業のいろいろなケースを見て来、体験してきていることが強みなのです。新規顧問先開拓の時や新しい顧問先を訪問したときに「あなた方はこの業界やあなた方の会社については私より良く知っています。しかし、私は、いろいろな企業のいろいろなケースを見てきています。」と必ず言うと、企業側もある種の優越感を持つと共に、正直な態度に好感してくれることが多いでしょう。

経営コンサルタンが目指すこと

なぜ、経営者が経営コンサルタントに仕事を依頼するのかという根本的な部分を見落とすと、経営コンサルタントとして大きな間違いをしかねないし、無用なところに力を投入したりしてロスを起こすこともあるでしょう。営コンサルタンは、限られた時間内に、最大の効果をあげることが必要です。「経営コンサルタントのいらない企業づくり」「当たり前のことが当たり前にできる企業」を目指して企業経営者に協力します。それには、相手の企業の一員になったつもりで、時には社員や経営者と一緒に仕事をします。

経営コンサルタントの仕事の仕方

すばらしい経営コンサルタントというのは、「必要な情報がどこにあるのか、この分野に精通している人はどこにいるのか」その情報源や人脈を多数有しているのです。経営コンサルタントが経験したことのない業界のクライアント・顧問先から依頼があると、ドロ縄式に勉強をしたり資料や情報を集めたりします。どんなにすばらしい経営コンサルタントでも、依頼企業の経営者や社員よりすべてに精通しているわけではないので、残念ながらこれが現実です。経営コンサルタントというのは、すべての業界や分野において精通しているとは限りません。一方で、クライアント・顧問先のニーズは、自分の会社の隅から隅まで知っていて、すべてに対して経営コンサルタントが対応できて欲しいと期待します。

経営コンサルタントの一日について

経営コンサルタントというのがかっこいい職業に見え、あこがれて経営コンサルタントになりたいという人は考え直した方がよいでしょう。経営コンサルタントの一日を見てみるとそれがよくわかります。

  • 経営コンサルタントの多くは、朝早く起き、メールを読むことから一日が始まります。メールを読んで、すぐに処理しなければならないものにはメールで返事を書きます。メールの中には自分でその場で処理できなかったり、逆に自分でなくてもできるような仕事があります。そのような場合には、秘書に指示を出して処理をしてもらったり、秘書からの返事や処理を待ちます。
  • メール処理が済まないうちに、顧問先との約束時間に間に合うように飛び出していくことが多々あります。顧問先は点在していることが多いので、移動はできるだけ電車や地下鉄など時間が読める交通機関を使います。これなら移動中にパソコンを使えるので、できるだけ自動車を運転して移動することは控えます。
  • 移動や仕事中でもいろいろな顧問先から問い合わせや連絡の電話やメールが入ります。時には上司から飛び込みの仕事が入り、後の時間調整に時間をとられることも多々あります。あい間を見ては、秘書に指示を出したり、秘書からの回答や連絡をもらって顧問先にそれを返します。
  • 時には市場調査に走り回ることもあります。顧問先から顧問先へと梯子をし、移動しながら報告書や提案書を作成したりもします。時間の合間を見ては情報収集をしたり新規顧問先への訪問や開拓もしなければなりません。雑誌や出版する書籍の原稿や講演の資料づくりの締切が迫り、気ばかりが焦ることもあります。
  • ようやく一日の顧問先訪問などの予定が終わると、上司に報告書を提出します。時には、メールでは済まず電話やあるいは会社まで戻って直接上司にあって報告したり相談をします。普通の会社員なら月給として毎月決まって給料が入りますが、経営コンサルタントの多くは実績主義のところが多いのです。収入が少ない時もあるし、長期間病気などをしていては収入がないどころか病院の費用の支払いを心配しなければなりません。